【Apple Watch Series 10】着実に進化を遂げたApple Watch

Apple

なくても別に困ることはないが、あったらあったで痒いところに手が届く便利なデバイス。それがApple Watchだ。

それゆえ、一度Apple Watchを使ってしまうと、なんとなくそれがない生活には戻りたくなくなってしまう。これが保有効果というやつか…。

といった具合に、まんまとAppleの策略にかけられ(?)、Apple Watch Series 10を買ってしまった。

本記事では、僕が2021年5月から使っていたApple Watch SE (第1世代) (40 mm)からApple Watch Series 10 (42 mm, GPS)に機種変更した感想を述べる。

なお、本記事は、Apple Watch SE (第2世代)とApple Watch Series 10のどちらを買うべきかで迷っている人の参考にもなると思う。

ぜひ読んでいってほしい。

Apple Watch SE (第1世代)が、watchOS 11非対応になった

watchOS 10で息絶えてしまったApple Watch SE (第1世代)

まずは、なぜApple Watch Series 10を買ったのかについて書く。

筆者は、2021年5月からおよそ3年半、Apple Watch SE (第1世代)を使ってきた。

これほど長く使っていると、さすがにバッテリーの劣化も気になり始める頃合いだ。

実際、設定からバッテリーの最大容量を確認してみると、75%にまで低下していた。

こうなると、特に朝早く出た日には、1日バッテリーが持たないということもあった。

それに加えて、Apple Watch SE (第1世代)が、新しいwatchOS 11に対応しないとアナウンスされたことも大きい。いわゆる「足切り」だ。

この発表は、2024年6月に開催された「WWDC24」という開発者向けのイベントでのことであった。

かくして筆者は、2024年9月に発売されたApple Watch Series 10を購入した。

【結論】明らかに体験は進化している

Apple Watch Series 10の新しい文字盤

全体の印象として、Apple Watch Series 10では、以前使っていたApple Watch SE (第1世代)で感じていた「細かな不満」が着実に改善されている。

動きはスムーズになっているし、ダブルタップのジェスチャにより、時計としての操作感も向上した。

6万円弱という価格には少し怯んでしまうものの、Apple Watchのナンバリングモデルは今が買い時だと思う。

なぜそう思うのか、「良かったところ」と「あまり違いを感じなかったところ」を踏まえて詳しく述べる。

良かったところ

まずは、筆者が「これは良い」と心から思った点だ。

簡単な操作を片手で行える「ダブルタップのジェスチャ」

ジェスチャで主要な動作を行える

ダブルタップのジェスチャは、人差し指と親指をトントンと2回合わせる動作である。

昨年(2023年)のApple Watch Series 9にて、一部の主要な操作をこのジェスチャで行えるようになった。これはApple Watch SEにはなかった機能だ。

ダブルタップの登場により、電話の応答、タイマーの停止、音楽の再生・停止などを、片手のみで行えるようになった。

また、簡単な画面のスクロールも片手で行えるようになったので、ウィジェットや、届いた通知の確認をしやすくなった。

ダブルタップのジェスチャによって、Apple Watchの強みである「iPhoneでもできるが、それを手首でさっとできる便利さ」にいっそう磨きがかかった。

それを踏まえると、ダブルタップのジェスチャは「手堅い進化」だと言えよう。

メッセージにさっと返信できる「キーボード入力」

Apple Watchから文章を直接入力できる

Apple Watch Series 7以降では、Apple Watch上のソフトウェアキーボードで文字を入力できるようになった。

以前のApple Watchでは、あらかじめ登録した文言の中から選択して返信するか、音声入力を行うことしかできなかった。

しかし、これからは、従来からある「音声入力」と「登録した文章から選んで入力」のほかに、「キーボードで入力」することもできるようになった。

この機能の何が嬉しいかといえば、届いたメッセージにさっと手首から返信できる点だ。

これにより、「声を出せない場合」や「素早く返信したい場合」など、状況に応じて3つの文字入力の方法から適切なものを選べるようになった。

もちろん、Apple Watch上で長文を打つことは難しいにせよ、2、3文で済むような簡単な返事であれば腕から簡単に送れる。

よって、この機能も、Apple Watchの取り回し向上に寄与する「手堅い進化」であると言える。

日常の動作を素早くこなせる「処理性能」

処理性能も明らかに向上している。

これは、アプリ一覧画面や、ウィジェット画面への遷移などのアニメーションが滑らかになっていることですぐに気づいた。

また、アプリの起動もワンテンポ早くなっている印象だ。

Apple Watch SE (第1世代)では、アプリをタップしてから実際に起動するまでしばらく待たされていたが、Apple Watch Series 10ではその待ち時間が少なくなった。

さらには、Apple Watch経由でSwitch Botの家電を操作した際の応答も多少早くなっている。

操作の引っ掛かり改善は、全体の使用感に直結する。そのため、Apple Watch Series 10での体験は、Apple Watch SEと比べて大幅に向上したと言えよう。

返答が早くなった「オンデバイスのSiri」

Siriの返答が早くなった

また、処理性能については、オンデバイスでSiriを使えるようになった点も見逃せない進化点だ。

Apple Watch Series 9以降では、「アラーム」や「タイマーの設定」などの簡単なタスクを、インターネットに接続せずに行えるようになった。

以前のApple Watchでは、Siriを使うにはインターネットの接続が必須だった。たとえそれが、「アラームの設定」といった簡単なタスクであったとしてもである。

すべてのタスクで通信を必要とするということは、通信状況などによってしばしば返答が遅くなってしまう。その点、一部の処理をデバイス上のみで完結できれば、返答の待ち時間を短縮でき、Siriの体験が向上する。

よって、オンデバイスのSiri機能も、Apple Watchの全体的な使用感を底上げしてくれていると思う。

なお、Siriに限らず、声を用いた文字入力もデバイス上で処理されるようになった。よって、文章入力の際にも、遅延の大幅な低減を感じられるはずだ。

急いでいる時に便利な「充電速度の向上」

30分で0%から80%まで充電できる

Apple Watch Series 7以降では、0%から80%まで、45分という早さで高速充電できるようになった。

Apple Watch Series 10ではこれがさらに高速化し、30分で0%から80%まで充電することができる。

Apple Watch SEには、そもそも高速充電の機能すらなかった。そのため、急いでいる時には、なかなか充電が進まずもどかしい思いをすることもあった。

Apple Watch Series 10は、旅行先や出かける直前など、すばやく充電したい場面でも信頼できる相棒となるだろう。

思ったより違いを感じなかったところ

次は、期待していたほどには魅力を感じなかった新機能について述べる。

役に立ったと感じた機会があまり多くない「ディスプレイの常時表示」

常に時間を表示させておける

Apple Watch Series 5以降では、画面を常に表示しておくことができるようになった。

Apple Watch SEにこの機能はないため、時間を確認したければ、わざわざ腕を上げる必要があった。

ただ、実際に「画面が常に点いていていて役に立った」と思える場面は、筆者の場合そう多くなかった。

確かに、寝転がっている時や、会話中など腕をあまり堂々と上げたくない時に、常時表示が役立ったと感じた場面も多少はあった。

ただ、当たり前ではあるが、常時表示をオンにするとディスプレイが常に点灯しているため、バッテリーの減りがそれなりに早くなる。

ディスプレイの常時表示は、利点と欠点の両方を持ち合わせた機能であるのだ。

よって、この機能にありがたみを感じられるかどうかは、各人の生活スタイルや状況によると思う。

腕を下げていても「画面を毎秒更新」

常に秒針を確認できる

Apple Watch Series 10では、腕を下げている状態であっても、画面が1秒ごと更新される機能がついた。

これまでのApple Watchでは、腕を下げていると1分ごとでしか画面が更新されなかった。そのため、従来のApple Watchでは、時計の秒針を常に表現することができなかったのだ。

確かに素晴らしい機能ではあるが、現状では「画面の毎秒更新」に対応した文字盤が少なく、非常に惜しい。

2024年10月現在、秒針の表示に対応した文字盤は2種類のみである。

このことから、現時点で、あまりそのありがたみを筆者は感じられていない。早急に多くの文字盤に展開してほしいところだ。

思ったより差を感じなかった「画面の大きさ」

左がApple Watch SEで、右がApple Watch Series 10

Apple Watch Series 10では、画面の大きさがApple Watch SEと比べて30%広くなった。

Appleはこのことを、「より多くの情報で、より多くのことをこなせます」と公式サイトの上部で宣伝している。このことから、画面の大型化は、Apple的にもだいぶ目玉機能と考えているようだ。

現に筆者も、Apple Watch Series 10を買う前には、Apple Watch SEからの移行で、画面の拡大に伴いどれほど良い体験になるか期待していた。

しかし、実際にはそれほど大きな違いを感じられなかった。比べたら確かに少し大きいな、といった程度である。

というのも、表示できるコンテンツ量が、想像していたほどは多くならなかったのだ。

「大きい」とは言っても、そもそもApple Watchのディスプレイはそれほど大きくない。むしろiPhoneなど他のデバイスと比べると圧倒的に小さい。

小さなディスプレイが30%大きくなったところで、小さいことに変わりはないのである。

ベゼルが太くなってしまった

ところで、ディスプレイに関してひとつ付け加えると、Apple Watch Series 7以降では、画面端の黒い部分である「ベゼル」が細くなった。これにより、より見た目がすっきりして、スタイリッシュなデザインに変わった。

しかし、Apple Watch Series 10では、デザインの刷新に伴って、ベゼルが以前のモデルより少し太くなってしまった。

できれば、ベゼルの太さはそのままで、ケースの大型化も相まってより大きなディスプレイを搭載して欲しかったところだ。

数年後のApple Watchでは、「ベゼルを薄くして、サイズは同じまま画面を大きくしました」と宣伝することになりそうだ。

こちらも思ったより差を感じなかった「本体の薄さ」

左がApple Watch SEで、右がApple Watch Series 10

薄さについても、Appleがあれだけ大々的に「薄くなった」と宣伝していたので、だいぶ楽しみにしていた点であった。しかし、それほど違いを感じられなかった。

薄くなったと言っても、違いはちょうど1 mmである。

もちろん、これだけのセンサーやバッテリー、ボタンなどを内蔵していてこの薄さというのは、涙ぐましい努力あってのものであろう。

ただ、ことApple Watch SEとの比較という文脈においては、「薄くなって装着感が驚くほど良くなった」とまではいかなかった。

以前からApple Watch SEを使い続けていたことで、Apple Watchの付け心地に慣れてしまったのかもしれない。

とは言うものの、機能は同じままでスリムになるのはもちろん歓迎すべきことだ。

Apple Watchと「普通の腕時計」では、装着感に多少なりとも違いがあるだろう。そのため、初めてApple Watchを買う人にとっては、この1mmの差が大きな違いに感じられる可能性もある。

【どちらを買うべきか】Apple Watch Series 10を買おう

Apple Watch Series 10で、使いやすく着実に進化した

ここからは、筆者が感じた進化点を総括し、Apple Watch SEと比較してどちらを買うべきか述べる。

結論、Apple Watch Series 10を買った方が良いと思う。

確かに、Apple Watch SE (第2世代)は、Apple Watch Series 10より2.5万円も安い。この価格差でApple Watch SE (第2世代)になびいてしまう人もいることだろう。

ただ、やはりApple Watch Series 10は今が買い時だ。

Apple Watchの大幅刷新は3年ごと

というのも、これまでの歴史を振り返ると、Apple Watchは3年ごとに大幅な改良がされてきたのだ。

初代Apple Watchの登場から3年後に発表されたApple Watch Series 4では、本体デザインが大幅に変わった。これにより、画面サイズがこれまでより格段に大きくなった。

その3年後のApple Watch Series 7では、画面ふちのベゼルが細くなり、いっそう画面サイズが大きくなった。

そして今回、Apple Watch Series 10で、また本体デザインが刷新された。

このようにApple Watchには、3世代ごとに大きな変化を遂げてきたという過去がある。

この法則に照らし合わせると、今後3年間は大幅な刷新は見込めない可能性もあるということだ。

もちろん、この法則はAppleによって破られる可能性もある。

そのため、「今後3年間は必ず大きな変化が起きない」と断定的はできないことには注意が必要である。

【まとめ】細かい不満点が着実に少なくなっている

Apple Watch Series 10は、「そうそう、そこちょっと不満だったんだよ」と思っていた部分が着実に解消されているApple Watchだ。

特に、ダブルタップのジェスチャ、Apple Watch上でのキーボード入力、オンデバイスのSiriの3つは良い。

細かい不満点が削ぎ落とされ、限りなく完成に近いApple Watchに仕上がっていると思う。

よって、2.5万円の差額を払ってでも、Apple Watch SEよりApple Watch Series 10を購入した方が最終的には幸せになれると思う。特に、長く使うつもりであればなおさらだ。

このレビューが、Apple Watch SEとApple Watch Series 10のどちらを買うべきか悩んでいる人の参考になれば幸いである。

補足

Apple Watch SE (第2世代)は、2022年の発売からすでに2年ほどが経過しており、もうじき第3世代の登場も噂されている。

必ず近いうちに第3世代が発売されるとは言い切れないが、もしかすると、Apple Watchの購入は、第3世代の情報が出揃ってからでも良いのかもしれない。

また、ひとつ前のモデルであるApple Watch Series 9と、今年のApple Watch Series 10を比較すると、大きく体験が変わるような変更はない。

どちらのモデルであっても、ダブルタップのジェスチャや、キーボードでの文字入力を行える。処理性能についても、Series 9とSeries 10でほとんど向上は見られない。

「Apple Watch Series 10は高いと感じるが、Apple Watch Series 9なら手が出そう」ということであれば、そちらを買うことも選択肢に含めてみても良いと思う。

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